女の子のふわっとした厳格なルール
女の子ってほんとうに面倒。
化粧はしなきゃいけない。
それなりに流行を捉えて。
でも髪や爪が華美すぎは論外。
また個性的すぎる服装は微妙。
差し色?抜け感?雄まゆげ?
ひとつが変でも全体のバランスが整ってるならとりあえずオッケーな心模様。
つまりきれいならいいのね、男女問わず。
でも女どうしの場合、
色々研究して、練習して、それなりに身綺麗になっても、
それはそれで褒められたときに、
褒めてくれた相手が気を悪くしないように適度に謙遜しなきゃいけない。
それができない奴は次からは皮肉で褒められる。
女の園では自分ディスが上手い美人ほど、
認められやすい。読んだことあるね。
美人ですねって、新しい環境に入ると八割がた言われる。すごく嬉しい。
だって家では二目と見れないブスと言われ続けてきたから。
でも、だからこそ褒められても、褒められ慣れてないプラス口下手が災いして、うまく自分をディスれない。
私が考えるに、多分褒められたときの理想の返しは、
・自分ディス2割
・天然じゃないのよ努力でまかなってきたのよアピール4割
・褒めてくれた相手の良いところを伝える4割
これだと思う。
でも私相手のことうまく褒められない。だって褒めてくる相手って、大抵自分より努力してないブスだから。
美人は自分より美人しか褒めない。
そりゃそうでしょ。橋本環奈ちゃんとか新垣結衣ちゃんにおきれいですねって言われて、その褒め言葉に何の裏も感じず受け止められる二、三十代がこの世に一体何人いる?
40、50、それ以降ならまだ分かるよ。勝負してるフィールドが違うもの。人生の中で培われてきた豊富な経験から醸し出される大人の深みとか、色気とか、いろいろ鑑みてからの「きれいですね」が構成されているわけだし。
でも同じ20代で、片やバッチリ化粧と髪も整えてからバイトに出勤、対してあちらはすっぴん、髪もボサボサ。それで会うたびにいや〜美人ですねって言われても、そりゃあ あなたよりはね、としか感じようがない。口が裂けても言いはせんけど、
しかし相手の美人ですねアタックをただ受け入れ続けるわけにもいかない。
相手のストレートを上手く流しつつ、相手の勢いを利用して反撃という名の謙遜と謙譲をせねばならない。
苦し紛れに「すっぴんでそのツヤなんて、肌が綺麗で羨ましいです〜」とか言う。本気でそんなこと思ってない。でも何でもいいからとにかく褒める。心がこもってない?当然でしょうが。努力してないブスをどうやって褒めるの?スーツのボタン綺麗に締められるんですね!くらいしか心の底から褒められん。
でも多分、私の上っ面の褒めなんか謙譲にもなってないことが向こうにはお見通しなわけだ。この戦略では大抵勝てないし戦場から降りない。引かぬ媚びる顧みぬで相手の粘り勝ち。
美人ですね。そんなことないよ〜
なんでいつもそんなにきれいなんですか? ありがとう〜そんな風に言ってくれるのあなたくらいですよ〜うれしいな〜
美人はいるだけで得ですよね。そんなことないよ〜好みとかあるしね〜
こんなにきれいだったら人生イージーモードでしょ?いやいや〜
このあたりで当方諦めモードになる。褒め言葉がポジティブな表現で飾った本格的なボディーブローに変わってくるからだ。もういい、もうこれ以上このやり取りするの面倒だ。厚塗り化粧キャラで行こう。
「そんなに褒めてもらえてすごくうれしいんですけど、でも私化粧に1時間以上かけてるから、リフォーム後の顔なんです〜うふふ」
こうして女はまた嘘をつく。
そして奴は満足して舞台から降り、次の出勤日には化粧に2時間以上かけるブスキャラに私はなっている。
めでたしめでたし。